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瀋従文 生誕120周年記念国際学術シンポジウム北京で開催

 瀋従文の生誕120周年記念国際学術シンポジウムが中国社会科学院古代研究所、考古研究所の主催により、会場とオンラインを結ぶ複合形式で北京で開催されている。中国各地の大学から40名以上の専門家たちがこのシンポジウムに参加。
 会場では、瀋従文の文学上、歴史学上の功績をたたえ、特に『中国古代服飾研究』に代表される物質文化史のパイオニアとして、またその文化芸術史学の発展に果たした役割についての振り返りが行われた。
 また、参加者たちは、それぞれの現在の研究について討論を行い、物質文化は中華文明の重要な一部であり、その継承的な発展は国家と民族の発展に非常に重要な意義があるとした。中国シルク、服飾研究は中国古代物質文化研究の重要な内容であり、前の世代の歴史学者が切り開いた学術伝統を継承するべきである。とくに中国古代物質文化研究学科の建設を進め、さらに多くの学際的研究を行い、中華の優秀な伝統文化の創造性の転化とイノベーショナルな発展に貢献し研究を支えるべきだとまとめている。

〔感想〕
 瀋従文(1902-1988)は苗族の作家であり、中国古代服飾史研究のパイオニア。1949年の中華人民共和国建国前には『辺城』をはじめとする多くのすぐれた文学小説を発表していたが、建国後は政治思想上の強い圧力をうけ、自殺を試みたり労働改造所に送られたりした。このため作品発表は行わなくなり、新たな道として中国古代服飾の研究に非常に大きな貢献をした。
 主催したのが文学研究機関ではないのだから当然のことだが、彼の功績が服飾研究の方面にのみ偏っているのが残念だと思った。
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